10年経ってもピッカピカ アバルトライフFile.21 永田さんファミリーとアバルト500

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今回ご紹介するのは、アバルト500を10年にわたり大切に乗っていらっしゃる永田さんファミリー。ご家族で大切にしているだけあり、ボディは新車のような輝きを保っています。これからもずっと、乗っていくつもりだそうです。

我が家に似合う、と直感

アバルトが日本に導入された初期のモデルを10年にわたって大切に乗り続けている方がいらっしゃるとお聞きし、会いに行きました。ご主人の悟さん、奥さまの由梨奈さん、お嬢さんの梨華(りんか)ちゃんの永田さんファミリーです。

待ち合わせ場所に訪れた永田さんのアバルト500は、エッセエッセ・キットを装着したMTモデル。何より驚いたのは、“新車のような”と表現できるぐらいの抜群のコンディション。永田さんファミリーに、このアバルトのどんなところが気に入って10年間、綺麗な状態を保ちながら乗り続けてこられたのか、うかがってみました。

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ご主人の悟さん。ショールームでクルマを見て、すぐにシンパシーを抱いたそうです。

悟さんと由梨奈さんのご夫妻は、近所で育った同い年の幼馴染み。悟さんは18歳のときに国産のスポーツクーペを手に入れて楽しんでいましたが、しばらくして雪で事故に遭ってしまい、以来、アバルトを手に入れるまではご自身のクルマを持たない日々が続いたのだそうです。悟さんはバイクにも乗りますし、由梨奈さんのクルマもあったため、そう不自由もなかったのだとか。ところが結婚し、梨華ちゃんのご誕生が大きなターニングポイントになりました。なぜなら、由梨奈さんのクルマは小さな2シーターのオープンカーだったのです。

悟さん「4人乗れるクルマということで、最初はフィアット500を見にいったんです。そうしたら、ちょうどアバルトの日本導入が始まった直後で、乗ってみたら“あっ、なんだかウチっぽいじゃん。ウチっぽいよね”ということになって(笑)」

由梨奈さん「他のクルマも見に行ったんですけど何だかいまひとつだったんです。アバルトは見た目もかわいいしカッコイいいし、ときめいちゃいました。それで乗ったら“ウチっぽいね”って(笑)。

──その“ウチっぽい”っていうのがよくわからないんですけど。

全員「(爆笑)」

由梨奈さん「直感ですかね(笑)。上手くいえないんですけど、でも“ウチっぽいね”で意見が一致しちゃったんですよ」

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とても明るい雰囲気の奥さま、由梨奈さん。

悟さん「ルパンの影響とかもあってフィアット500は知ってたんですけど、実はそれまでアバルトのことは知らなかったんですよ。でも、“ウチっぽいね”って感じたんです(笑)」

わかるようなわからないような……ですが、ご夫婦は瞬間的に“ウチっぽい”で意思の疎通が図れた模様。まぁ初めて見て触れたアバルトに大きなインパクトを感じたのは間違いない、ということだと思います。

好きだから乗らない

それが2008年の年末の出来事。“ウチっぽい”で盛り上がって手に入れる気たっぷりなのはよかったのですが、その頃はオーダーを入れても納車までしばらく待たなければなりませんでした。ところが年が明けた1月、ディーラーから1台キャンセルが出たため、早く納車できそうだという連絡が入ります。悟さんは長く乗りたいと思い、着々と頭の中で好みの仕様をイメージしていたそうですが、ほとんどそれに近かったことから即契約。エッセエッセ・キットとデカールの装着に1ヶ月ほど待ち、いよいよ永田家にグレーのアバルト500、MTモデルがやってきました。梨華ちゃんがちょうど1歳になった頃でした。

それから10年。永田ファミリーのアバルト500の走行距離は、3万km。ちっとも距離は伸びてません。いったいなぜゆえ?

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悟さん「最初はガツガツ乗るぞっていうつもりだったんですけど……。でも、雨が降った後にはボディに雨ジミみたいなものがつくじゃないですか。それは嫌だな、と思いはじめて。それで、家の横にガレージを建てて、シャッターも電動にしたら、開いていくときにアバルトが少しずつ見えるのがカッコいいんですよ。それを眺めるのが楽しみになって(笑)。そのうち段々と本当に天気の良い日しか乗らなくなる方向に……。そうしているうちに、もしかしたら紫外線にあてるのが一番よくないかも、と思いはじめて。乗りたいけど乗れない(笑)。だからイベントのときだけ乗る、みたいな感じですね」

由梨奈さん「本当に汚したくない、濡らしたくない、なんですよ。だから私、一度どこかにこすって傷つけちゃったらあんまり気にならなくなるんじゃない? っていったら、そんなことはない! って(笑)」

悟さん「いや、でも週末ごとに乗ろう、と。そういう気持ちはあるんですよ。……あるよね?」

由梨奈さん「そうね。でも、そういいながら朝、窓からチラッと空を見て、今日は天気が崩れそうだからヤメよう、とかね(笑)」

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クルマに乗りたい気持ちと、キレイに保ちたい気持ちの両方を楽しんでいらっしゃるかのような永田さん。距離は伸びていませんが、大満足のご様子です。

──すごく好きだから乗らないっていうオーナーさんに取材させていただくのは初めてで、とっても新鮮です(笑)

悟さん「僕は普段、暮らしていくうえではクルマをほとんど必要としないし、必要なときには自分の実家や奥さんのクルマが使えるし奥さんのアシのクルマもあるし、通勤は原付のバイクだし、そういう意味ではまったく困らないんです。でも、アバルトに乗ると“やっぱコレコレ!”って思うんですよね(笑)」

由梨奈さん「そう。“やっぱ楽しいよね”って(笑)」

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たまに乗る時はご家族一緒で。気持ち良さを皆で共有しています。

悟さん「だから、もっと乗りたい! って思うんですけど、でもガレージに仕舞うと……うん、やっぱ紫外線に当てたくない、って考えちゃうんです(笑)」

由梨奈さん「帰ってきてガレージにクルマを入れると、なかなか家の中に戻ってこないんですよ。で、見てみると、ずっとクルマを掃除してます(笑)」

悟さん「いや、できるだけ触りたくないんですよ。磨き傷がつくから(笑)。だから、エアコンプレッサーで吹いてます。もともとバイクが好きで、いろいろ弄るために持ってたんですよ。実は奥さんのクルマとしてアルファ ロメオの4Cがあるんですけど──」

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アルファ ロメオ4Cも所有していらっしゃる永田さん。でもほとんど乗っていないようです。

由梨奈さん「私、クルマのこと全然わからないんですけど、デビューのときのプロモーションビデオを見て一目惚れしちゃって。値段を考えたら夢のまた夢だと思ってたんですけど、頑張っちゃいました(笑)。一生モノです」

悟さん「──その4Cを買うときに色々あったバイクをほとんど手放しちゃって、ふたりで1台ずつ、それに娘をバイクの後ろには乗せたくないから、今はほとんど乗ってないですけどね。……あれ? そういえば4Cも、買って3年経つけど3000kmぐらいだよねぇ。何だか……アシのクルマと原付以外、ほとんど乗ってないですね。何だか乗るんじゃなくて所有するのが趣味、みたいな……(笑)」

──昔からそういうタイプだったんですか?

悟さん「うーん……バイクに熱中してたときも、雨の日に乗るのはバイクが可哀想だから乗りませんでしたけど、クルマはアバルトになってからですね。このクルマは移動のための道具じゃないというか、宝物みたいな存在というか、そういう気持ちがどんどん湧いてきちゃって」

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梨華ちゃんは「1台のクルマを大切にしている、そんなお父さんがかっこいい」と話してくれました。

由梨奈さん「アバルト、本当に大切にしてるんですよぉ。一度、皆で出掛けたときにクルマの中で私がゆで卵を食べようとしたんですね。カラを割るところがないから金属の角のところにコンッて当てたら、“ちょっと待って!”って大慌てで(笑)。娘も慣れてるから、ものすごくアバルトを大切に扱ってくれるんです。お金持ちのお嬢さんみたいにパパがドアを開けるまで普通に待ってますからね。パパはガーンと開けられると困るから(笑)」

梨華ちゃん「ほかのクルマのときは自分で開けるけど、アバルトのときはしょうがないと思ってます。急にそうなったわけじゃないし」

──梨華ちゃんはそういうパパのこと、どう思う?

梨華ちゃん「買って飽きたらすぐに買い換えてっていうのより全然いいと思います。1台のクルマをものすごく大切にしながらずっと乗ってるのって、かっこいいと思う。パパはあんまり乗ってないけど」

全員「(爆笑)」

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──梨華ちゃんもアバルトのこと、好き?

梨華ちゃん「うん。特にホイールが好き」

──ホイール? どうして?

「クルマを掃除するときに、私が綺麗にしてるから」

全員「(爆笑)」

──やっぱりクルマ掃除、ですか(笑)

悟さん「いや、あの、でも、もともとクルマを見てるのも好きなんです。だからイベントに行くのも好きだし、ショールームとかにも意味もなく行きますし。……アシのクルマで、ですけど」

梨華ちゃん「皆で見て、すごいね、かっこいいね、って。そういうのも楽しいよね」

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普段から洗車をお手伝いしている梨華ちゃん。洗車のときはホイール掃除が担当なのだとか。

──でも、アバルトって運転するとめちゃめちゃ楽しくないですか?

悟さん「もちろんめちゃめちゃ楽しいですよ。走ってるときも最高に楽しいです。スピードが40km/hでもものすごいクルマに乗ってるようなフィーリングを味わえるし。アバルト・ドライビングスクールの第1回目に参加して、全開で走らせたときの楽しさとか自分の能力を超えてしまいそうなクルマの凄さも体験してるんですけど、ノーマルのまま普通にそのへんを走ってるだけでもものすごく楽しいです。だから、もっと乗りたいとは思うんですけどね」

梨華ちゃん「パパに乗せてもらってても楽しいよ。見ててもかわいいから大好き。エンジンの音も普通のクルマとは違うし、外に置いたときでも風景がちょっと違う感じがするもん。なんか特別。パパもずっとニヤニヤしてて、凄く嬉しそうだし。そういうのも楽しい」

由梨奈さん「あなた、うちの中で一番オトナかも知れない(笑)

全員「(爆笑)」

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──今のアバルトから別のクルマに乗り換えるとか、考えたことはありますか?

悟さん「一度もないですね。手放す気はまったくありません。ずっと乗ると思います」

由梨奈さん「そうですね。将来的にもずっとウチにあると思います」

梨華ちゃん「オトナになって乗れるようになったら、私が乗りたい」

由梨奈さん「えー! ホントに? 嬉しいなぁ、梨華が乗ってくれたら嬉しいなぁ」

悟さん「免許がとれるまで、あと……7年か。うん、もちろん普通にウチにあると思います(笑)」

──それじゃ次はぜひ、7年後に取材をさせてください。

全員「(爆笑)」

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アバルトが永田さんファミリーにとって欠かすことのできない存在であることは、お話の端々からほんわかと、けれどとっても強く伝わってきます。永田さんファミリーは明るく楽しく、ものすごく仲良しなのですが、それにアバルトが一役買っていることがうかがえました。どうやら家族同士をつなぐひとつの絆のような存在にもなっているようです。

ガンガン走って楽しいのがアバルトの持ち味ではありますが、走りだけがアバルトのよさ、というわけではないのですね。他のクルマとは違う“愛されキャラ”であることも、アバルトの立派な個性なのかもしれません。

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文 嶋田智之

アバルト公式サイト https://www.abarth.jp/