2008 ABARTH 500 DA 0 A 100|アバルトの歴史を刻んだモデル No.044

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2008 ABARTH 500 DA 0 A 100
アバルト チンクエチェント ダ・ゼロ・ア・チェント

カルロ生誕100年を祝う限定車

アバルトを語るうえで欠かせないのは、創始者でありライダーでもあり、そして類まれな才能を備えたエンジニアでもあったカルロ・アバルトの存在だ。彼のスピードへのあくなき探求と勝利への挑戦は、数多くの名車を生み出した。カルロならではの美的センスにより生み出された機能美を超越した魅力的なデザインは、今も愛好家の間で高い評価を得ている。

2008年11月15日と16日、トリノにある展示会会場のエスポジツィオーネでは、イタリアの自動車界に偉大な足跡を残したカルロ・アバルトの生誕100周年を祝う記念展「Karl Abarth: cento anni di elaborazioni」が開催された。会場にはかつてカルロが走らせたモーターサイクルや、アバルトの歴史をつくり上げたさまざまなモデルが展示され、カルロを慕う多数の入場者を迎えた。

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2008年11月にトリノのエスポジツィオーネで開催された「Karl Abarth: cento anni di elaborazioni」。

このカルロ生誕100周年記念イベントに合わせてアバルトが送り出した限定車が、「DA 0 A 100/ダ・ゼロ・ア・チェント」だ。創設者の情熱へのトリビュートと、彼の人生を振り返るモデルとして101台限定で生産された同モデルは、洒落者だったカルロをイメージし、ボディカラーは盟友だったタツィオ・ヌヴォラーリの名を冠したグリージョ・ヌヴォラーリとされ、ボディサイドにはグレーのアバルト ストライプを採用。カルロの情熱をシックに表現した。

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カルロ・アバルト生誕100周年を記念して開かれたイベントには、アバルトの歴史をつくり上げたモデルを展示。世界中から集まったアバルト・ファンがカルロの偉業を称えた。

アバルトの歴代モデルに広く採用されるデザイン上の特徴のひとつが、アクセントとなるレタリングとバッジだ。それらはこの「ダ・ゼロ・ア・チェント」にも受け継がれ、Bピラー上には栄光の記録である「CAMPIONE MONDIALE MARCHE 1962、1963、1964、1965、1966、1967(1962年~1967年世界チャンピオン・メーカー)のレタリングが、サソリとエンブレムと共に輝く。ドアの後方には’60年代のモデルに付けられていたものと同デザインの「CAMPIONE del MONDO/ワールド・チャンピオン」バッジが取り付けられ、その足跡を称えた特別なモデルであることを主張した。

エクステリアでは4本のエキゾーストパイプを備える特製のサイレンサーが採用され、排圧をコントロールするバルブも組み込まれた。このほかドアミラーにはクロームのカバーが取り付けられ特別なモデルであること示した。さらにホイールは「esseesse(エッセエッセ)」キットと同型の7.0J×17インチのアロイホイールを採用し、そこに 205/40R17サイズのピレリP-ZEROネロが組まれ、パワーアップに対応した。

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洒落者だったカルロを称え、ボディカラーは盟友だったタツィオ・ヌヴォラーリの名を冠したグリージョ・ヌヴォラーリを採用。熱い情熱を落ち着いた雰囲気で包み込んだ。

インテリアもスポーティで落ち着いた仕上げとされ、シートは銀のステッチを施したレザーを採用。ステアリングホイールは上部にイタリアン・トリコローレのマーキングが施され、フィンガーレストは着色されたレザーでカバー。シフトノブはホワイトとされ、フロアコンソールには「DA 0 A 100/ダ・ゼロ・ア・チェント」であることを示すシリアルナンバーを打刻した専用のアルミ製プレートが取り付けられた。

この限定モデルはカタログモデルのアバルト 500と同じ1.4リッター・ターボT-ジェットユニットを搭載するが、ターボチャージャーはIHI製RHF3型に換えられ、特別なECUに変更し、レーシングマシンで定評のある吸気効率に優れるBMC製エアフィルターを採用することにより、エッセエッセと同等の25psアップとなる160ps/5750rpmを発揮した。

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4本出しのエキゾーストパイプと17インチホイール、およびドア後方に備わる往年のデザインを再現した「CAMPIONE del MONDO」バッジがベース車との識別点。

これらのチューニングとギヤリングの変更により動力性能が向上し0-100km/h加速は7.3秒、4速40km/hから100km/h加速は8.5秒、最高速度は211km/hをマークし、エッセエッセをも上回るパフォーマンスを発揮した。

さらにドリルド・ディスクブレーキを前後に装着し、フロントには高性能なパッドが組み込まれ高い制動力を確保。車高を低めたスプリング、サソリのロゴが入ったクロームハブキャップ付きホイールが組まれ、高い完成度を誇った。

ABARTH 500 ダ・ゼロ・ア・チェントは、アバルトが日本で正規導入される前に送り出されたモデルだったため、日本には輸入されなかった。しかし、このあとに登場するABARTH 695 TRIBUTO FERRARIなどの限定車の先駆けとして、ファンの間で今も特別な存在として知られている。

2008 ABARTH 500 DA 0 A 100
全長:3655mm
全幅:1625mm
全高:1515mm
ホイールベース:2300mm
車両重量:1110kg
エンジン形式:水冷直列4気筒DOHC+ターボチャージャー
総排気量:1368cc
最高出力:160ps/5750rpm
変速機:5段マニュアル
タイヤ:205/40ZR 17
最高速度:211km/h

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