アバルトに新ラインアップ「F595」登場! 専用装備などの特徴や他モデルとの違いを詳報

アバルト選びをより悩ましくするモデル

アバルトのラインアップに、新たなモデル「F595」が加わった。そこで今回は、限定車ではなくカタログモデルとして新たに加わったこのニューカマーをフィーチャーしていきたい。アバルト好きにとって悩ましいのは、ラインアップをふるいにかけて自分にとってベストな1台を決めること。もちろん、所有すれば自分のクルマが一番となるはずだが、選ぶ段階では各モデルに個性があるため、「こっちもいいけど、あっちも捨てがたい」という風に、悩みのスパイラルに陥る人が多いのではないだろうか。今回新たにF595というモデルが加わったことで、アバルト選びがより楽しくも、難しいものになるかもしれない。そこでここでは悩めるアバルト好きにとって、判断材料となるような情報をお届けできればと思う。


F595のリアビュー。ハッチゲートには専用のエンブレムが備わる。

なぜアバルト選びが難しいのか。それはアバルトのラインアップは、車両価格が高い=上位という単純なヒエラルキーのものに構築されていないからだろう。したがって、一番高いモデルが誰にとっても理想の1台かというと、そうとは限らない。選ぶ際に大事なのは、どんな“味付け”を求めるか。各モデルに三者三様の個性があり、自分の感性にもっとも合ったモデルを見つけることが重要になってくる。ただ、どのモデルを選んでも、本質的な運転の楽しみや、“アバルトらしさ”は備わっているので心配不要。ファンなものしか作らないというアバルトのクルマ作りの哲学は、ハンドルを握ればすぐに感じることができるはず。話を戻すと、ライフスタイルやライフステージによってその時にベストなモデルを選ぶには、まずは各モデルの特徴を押さえておきたいところ。

なぜ“F”なのか

では、本題であるF595がどんなクルマかを見ていこう。まずモデル名を見て、「“F”ってなに?」と思った人も多いのでは。この「F」は、Formula(フォーミュラ) 4から採ったもの。フォーミュラ4とは、F1を頂点とする、FIA(国際自動車連盟)公認のフォーミュラシリーズの入門カテゴリーで、カートを卒業し、フォーミュラカーでさらに上を目指す若きレーサーの登竜門となっているレースシリーズだ。アバルトはイタリアで行われている「F4選手権 パワード・バイ・アバルト」にエンジンを供給しており、そのエンジンがF595や、595 Turismoに搭載されている最高出力165psユニットと同じものなのだ。


イタリアで繰り広げられているF4選手権 パワード・バイ・アバルトのマシン。ノーズにアバルトのロゴが入っていることにお気づきだろう。アバルトは、同シリーズにエンジンを供給しているほか、同シリーズのスポンサードを務め、若手ドライバーの育成に貢献している。

アバルトは1971年からフォーミュラ・イタリアにエンジン供給を行っており、途中ブランクはあるものの、2021年には入門フォーミュラへのエンジン供給を行ってから50周年を迎えた。その年に同エンジンを搭載して発表(本国)されたニューモデルに、「F595」の名が与えられたというわけだ。

このストーリーはF595に搭載されるエンジンの素性を物語ってもいる。入門フォーミュラというのは、ドライバーのスキルアップをサポートするカテゴリーであるため、マシンの性能はどれも同じイコールコンディションで競われ、参加者が低コストでレースに挑めるように配慮されている。条件が同じというだけでなく、すぐに壊れてしまうようなエンジンでは務まらないため、エンジンやその他のパーツには高い信頼性が求められるのだ。つまりFIA公認のフォーミュラカーにエンジンが搭載されているということは、そのエンジンの信頼性が高いということを意味するのだ。


参考までにF595は最高速度218km/h、同じエンジンを積むフォーミュラ4は240km/hと公表されている(いずれも本国参考値)。

また、F595のわずか2250rpmという低い回転数で230Nmもの最大トルクを発生することは、このエンジンが高回転まで回さなくても巨大な力が得らえる=実用で扱いやすいということを示している。

上下に配置されたツイン・デュアルエキゾースト「レコードモンツァ」を採用

そしてF595のもうひとつ大きな特徴が、左右に片側2本出しのエキゾーストエンドを、縦に並べるように配置した高性能エキゾーストシステム「レコードモンツァ」だ。本国では“レコードモンツァ・ソブラポスト(Sovrapposto)”と呼ばれるこの新しいレイアウトを採用するのは、現状F595のみ。ソブラポストとは、イタリア語で“積み重ねる”という意。縦配置というのは世界的に見ても市販車ではほとんど見ない希有なレイアウトだ。


片側2本ずつのツイン・デュアルエキゾーストを、縦に配置した新レイアウトのレコードモンツァを搭載。なおリアバンパー下部には、整流効果のあるディフューザーを採用する。

この新世代のレコードモンツァは、595 Competizione同様、可変バルブ機構を備えており、コクピットの“Scorpion”ボタンを押すことで、バルブの開閉の操作が可能となっている。排気音は一般的なマフラーに比べると野太いものの、標準モードではだいぶ音量が抑えられ、住宅街にお住いの人によってはこの標準モード/Scorpionモードの切り替えボタンは重宝することだろう。モードごとの排気音の違いは記事下の動画で確認いただきたい。


専用17インチアルミホイールの奥には、ドリルドディスクブレーキならびに特定色にペイントされたブレーキキャリパーを覗くことができる。

足回りは、従来の595 Turismo同様、フロントに標準ダンパー、リアにKONIのFSDダンパーを組み合わせている。FSDダンパーとは、Frequency Selective Dampingの頭文字を採ったもので、ダンパー内に通常のオイル経路の他に、バルブ付きのもうひとつのオイル経路があり、ダンパー内のピストンの動き(スピードとストローク量)に応じて後者のバルブの開閉具合が変化し、状況に応じて減衰力を最適化するというシステム。低負荷時は乗り心地が良くなる方向に働き、大きな負荷が掛かる場面では、しっかりダンピングを効かせ、粘る足回りになるという仕組みだ。単純にリアのダンパーだけ減衰力が高い設定になっているわけではないのでご安心を。


F595の内外装。右ハンドルのほか、左ハンドル仕様を選ぶこともできる。

専用デザインが散りばめられたエクステリア

F595には、全5種類のボディカラーが設定され、それぞれに前後バンパーの一部とドアミラー、ブレーキキャリパーなどに特定のアクセントカラーが組み合わされる。Grigio Campovolo(グレー)にはレッドのアクセントカラー、Bianco Gara(ホワイト)にはグリーン、Grigio Record(ダークグレー)にはブルー、Nero Scorpione(ブラック)にはイエローという具合に、アクセントカラーが際立ったものが多いが、Rosso Abarth(レッド)では大人しめのブラックのアクセントカラーが組み合わされるなど、ボディカラーにより強弱が付けられている。


写真は、Grigio Record(ダークグレー)。ブルーのアクセントカラーが組み合わされる。

なお、ホイールは全モデルにブラックペイントされた17インチの専用アルミホイールが組み合わされ、足元が精悍に仕上げられている。なお、ブレーキキャリパーはドリルドタイプとなっており、特定色仕上げのブレーキキャリパーにはハイパフォーマンスブレーキパッドが組み合わされるなど、見た目も走りもスポーティな仕様となっている。

F595を既存のラインアップに当てはめて紹介すると、エンジンや足回りは595 Turismoと基本共通だが、595 Turismoが右ハンドル・MTA仕様のみであるのに対し、F595には左/右ハンドルの設定があり、トランスミッションは5MTのみとなる。また、シートは従来の595と共通のファブリック生地のヘッドレスト一体型スポーツシートで、エクステリアならびにエキゾーストシステムは、他のどのモデルとも異なるユニークな仕様となっている。


トランスミッションは5速マニュアルのみというところに、スポーツ色の強いキャラクターであることが見て取れる。

こうして採用されたパーツや各仕様を見ていくと、F595はスポーツ性能と長距離走行もこなせるコンフォート性を兼ね備えながら、デザインでは独自の個性を放つユニークなモデルであるということが見えてくる。なお、F595の専用部品や他モデルとの違いについては、販売の現場で活躍されているアバルト長野のアドバイザーの勝本氏が詳しく紹介してくださっているので、そちらの動画もあわせてご覧いただきたい。

【Movie】アバルトF595の特徴や他モデルとの違いを動画で紹介


  

撮影協力=アバルト長野
長野県長野市稲里町中氷鉋字三島415-1
営業時間:9:30-19:00 定休日:毎週火曜日
TEL:026-285-6688
URL:https://nagano.fiat-abarth-dealer.jp/fab/

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