大盛会となった第4回アバルトデイズ

新旧アバルトの愛好家によって結成された、日本唯一のアバルト・クラブである 「クラブ・アバルト」。および愛知・チンクエチェント博物館が主催し、フィアット クライスラー ジャパンも特別協賛する、アバルト愛好家のためのイベント「アバルト デイズ」が、今年も5月25, 26日に開催された。
今回のアバルト デイズもこれまでの通例に従って、初日は箱根・伊豆周辺のワインディングロードを堪 能するドライブラリーが行われる。今年のラリーには、約20台の新旧アバルトが参加。うららかな初夏のドライブを、存分に楽しむことができたようだ。
また今年はサプライズとして、フェリーで行くデラックス・リゾートホテル「淡島ホテル」にてランチ休憩。参加者たちは愛車アバルトを対岸の駐車場で休め、豪華なフレンチ・フルコースランチに舌鼓を打つことになった。
愉しいドライブラリーを終えて、毎年イベントの拠点としてご提供いただいている「ニューウェルサンピア沼津」に戻ったのちはウェルカムパーティである。今回も、かつて一世を風靡したエンスーコミック「GT ロマン」の作者である人気マンガ家、西風氏に加え、オールディーズを演奏する自称 “おやじバンド” もゲストに迎え、軽妙なBGMと大脱線トークにパーティ会場はヒートアップしていった。
さらに西風氏の主導で、翌日のミーティング会場をライトアップしてのアウトドア二次会に突入。夜の更けるまで、最高に愉しいパーティが続くことになったのだ。
そして翌日の日曜日。さらに多くの新旧アバルト車を集めてのミーティングが行われた。初日のドライブラリー参加車両に加えて、この日は総計60台近くにも及ぶアバルト車と、アバルトを愛してやまないエンスージアストが集結。中でも、これまでのアバルトデイズでは見られなかったアウトビアンキA112アバルトや、ランチア・デルタHFインテグラーレなどの「隠れたアバルトの名作」たちも来場し、このイベントが円熟期を迎えつつあることを明快に感じさせてくれた。
さらに今年は、静岡県内を中心に大人気の男女2人組バンド“CRaNE(クレイン)”のライブショーも開催され、ミーティング会場はさらに大盛り上がり。雨に見舞われた昨年とは違って好天にも恵まれ、自動車界きっての熱きブランド、アバルトに相応しい“熱い”一日を過ごすことができたのだ。
クラブ・アバルトは生産年次の新旧を問わず、すべてのアバルトを愛好するエンスージアストが集うクラブ。そして「アバルト デイズ」はそのスピリットを最もピュアなかたちで味わうことのできるイベントと言えるだろう。
特に最新アバルト各モデルでアバルトの門を叩いたファンには、アバルトというクルマが一生の趣味にもなり得る存在であることを、「クラブ・アバルト」および「アバルト デイズ」で、是非とも実感していただきたいと願ってやまないのである。

初日朝、ニューウェルサンピア沼津に設定されたスタート地点でアバルトフラッグを振られるフィアット・ アバルト850アレマーノ・スコルピオーネ。京都から参加の常連だ。

スタート地点からほど近い、いかにも静岡らしい茶畑をバックに快走するフィアット・アバルト1000TCR。 いつもお父さんとお嬢さんの親子で参加する、こちらも常連ペア。

今回もラリーコースに設定された伊豆・箱根近辺は、魅力的なワインディングロードの連続。山あいにこだまするアバルトミュージックが、堪らなく魅力的に聴こえる。

同じメイクスのクルマ同志でのドライブは愉しいものだが、クルマがアバルトならばそれは格別。旧いモデルも最新モデルも、等しくワインディングを楽しむ姿が印象的だった。

美しいシーサイドコースを、ランチ会場となる淡島に向けてひた走るアバルト500のチーム。いかにも伊豆らしい紺碧の海に、ビアンコ・ガーラ(純白)のボディが美しく映える。

対岸の淡島マリンパークから専用フェリーに乗って、ランチ会場の淡島ホテルへ。知る人ぞ知る高級リゾートホテルでのランチに、特にパートナーの女性たちは大喜びの様子。

淡島ホテルでは、完全着席のコースランチが供された。全席オーシャンビューの美しいロケーションで最高に美味しい食事とあって、エントラントたちの評価は極めて高かった。

ランチを終えて、一路ゴールへと向かうアバルト695エディツィオーネ・マセラティ。クラブ・アバルトI会 長のもとに先日納車されたばかりとのことで、とても楽しそうな様子。

帰途も素晴らしいワインディングが続く。旧き良きフィアット・アバルト595と、後方のアバルト500Cのコンビは、実は4人家族で2台のアバルトに分乗したご家族グループだ。

クラブ・アバルト理事のMさんペアは、愛車フィアット・アバルト1000TCRとともに約200kmの行程を走破。ニューウェルサンピア沼津のゴールでチェッカーフラッグを受ける。

タイム&クイズラリーのあとはお楽しみのウェルカムパーティ。日本のアバルト界を40年以上に亘って牽引してきた大御所、クラブ・アバルトのF名誉顧問が乾杯の音頭をとった。

立食パーティに供されたディナーも、お昼のランチに負けず素晴らしいもの。伊豆の海の幸が豊富に振る舞われるメニューに、エントラント一同が舌鼓を打つことになった。

パーティの締め括りは、タイム&クイズラリーの表彰式。マンガ家ながらトークも最高に愉しい西風氏がプレゼンターとなり、表彰を受ける参加者たちの笑顔が絶えなかった。

初日の夜は毎年恒例のライトアップが行われ、タイム&クイズラリーに出場した新旧アバルトたちが美しくショーアップ。陽光を浴びた昼間とは違った表情を見せてくれた。

今年は西風氏が音頭をとって、芝生ガーデンでの二次会が行われた。ライトアップされたアバルトを見ながら、美酒とアバルト談議(脱線談義も……)で、楽しい夜は更けていく。

明けて2日目のミーティングでは、今季からスーパー耐久に参戦しているアバルト500アセットコルセと、同じカラーリングが施された新車の500アセットコルセがお出迎え。

会場で観衆の溜息を誘った、珠玉のクラシック・アバルト2台。ともにアルミ製ボディを持つアバルト・シムカ2Milaと、フィアット・アバルト1000ビアルベロ・ロングノーズ。

こちらも溜息モノの一台。1960年代中盤、FIA世界スポーツカー選手権の小排気量クラスで活躍したフィアット・アバルトOT1300は、今回がアバルトデイズ初参加であった。

こちらも初参加となるフィアット・アバルト1300/124クーペは、わずか数台の生産に終わった怪物 “OT2000アメリカ・クーペ” を模した見事なモディファイが加えられていた。

傑作ラリーカー、フィアット131ラリー・アバルトは、素晴らしいコンディションを誇る2台が来場。同色が揃った組み合わせに、カメラを向けるギャラリーがあとを絶たなかった。

1980年代に、日本でも絶大な人気を獲得したアバルトの傑作、アウトビアンキA112アバルトも第4回にして初来場。新車当時にこのクルマに憧れたファンは大喜びの様子だった。

存在自体の偉大さゆえに忘れられがちだが、ランチア・デルタHFインテグラーレもアバルトの名作。将来このクルマを譲られることになる小さな息子さんを伴っての来場だった。

かつて五十嵐浩晃氏がオリジナルを歌った往年の名曲「ペガサスの朝」のリメイクで人気の2人組バンド“CRaNE”が来場。ミーティング会場で白熱のライブショーを展開した。