1953 FERRARI 166MM ABARTH|アバルトの歴史を刻んだモデル No.005

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1953 FERRARI 166MM ABARTH
フェラーリ166MMアバルト

アバルトとフェラーリの出会い

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ABARTHファンにとってFerrari(フェラーリ)と聞くと、マラネッロ製のFERRARIではなく、『ABARTH 695 TRIBUTO FERRARI(アバルト 695トリブート・フェラーリ)』を思い起こすことだろう。しかしABARTHとFERRARIのコラボレーションは『ABARTH 695 TRIBUTO FERRARI』以前にあり、その起源はなんと63年前の1953年にまで遡るのである。

1953年にアバルトのファクトリーで1台のマシンが完成する。このマシンこそ『FERRARI 166MM ABARTH(フェラーリ ミッレ・ミリア)』にABARTHがスペシャル・ボディを架装したワンオフ・モデルで、FERRARIと最初のダブル・ネームとなった1台だった。

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このFERRARI・ABARTHが誕生した陰には一人のエンスージァストの存在があった。ミラノでFERRARIディーラーを経営するフランコ・コルナッキオは、スクーデリア・グアスタッラを支援していた。コルナッキオはイタリア国内のスポーツカー選手権を勝ち取るために、スクーデリア・グアスタッラが所有する『FERRARI 166MM』の戦闘力を高めるアイディアを実行する。それまで架装されていたヴィニャーレ製スパイダー・ボディを捨て、アバルトに軽量なボディの製作を依頼したのである。

アバルトは設計するにあたり、軽量化とレース中にクラッシュした時に簡単にボディパネルを交換できる独創的な構造で製作することにした。アバルトのファクトリーでフレームだけにされた『FERRARI 166MM』に、ボディパネルを取付けるための骨格が組み付けられた。ボディパネルは大きなアルミ薄板から熟練の職人の手により叩き出されたもので、センター・セクションを含めても僅か54.4kgと超軽量だった。

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このボディは超軽量であることに加え、クラッシュ時に、簡単にボディパネルを交換できる構造だった。ボディパネルはシャシーに取付けられた骨格部分に、現在のレーシング・マシンにも使用されているズス・ファスナーと同じ構造のロックで固定されていた。このズス・ファスナーは中央部分を回転させるとワンタッチでロック/解放ができ、瞬時にボディパネルの取り外し、取り付けができたのである。

ユニークなのはボディの構造だけではない。スタリングも他に例を見ない独創的なもので、時代を超えた造形を備えていた。フロント・エンジンながらノーズは可能な限り下げられ、フロント・フェンダーのホイールアーチ後方を省略するモチーフは、後に現れる『FERRARI 250TR』にも見られる。そして目を射るのが3灯のヘッドライトを備えるノーズ・デザインだ。メインビームを中央に配し、左右に補助灯を置くというユニークなレイアウトだった。

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この独創的なコンセプトで製作された『FERRARI 166MM ABARTH』は、スクーデリア・グアスタッラにデリバリーされ、ジュリオ・ムジテッリのドライブで闘いに挑んだ。デビュー戦となった1953年5月14日に開催されたタルガ・フローリオでは21位に終わるが、6月のノットゥーメ・ディ・メッシーナで初優勝を勝ち取り、8月のジーロ・デッレ・カラブリエでは1Cクラスの優勝を果たす。このあと1954年シーズンもイタリアを中心に活躍するが、この年をもって『FERRARI 166MM ABARTH』はスクーデリア・グアスタッラから退く。その後アメリカのレーサーが購入し、1955〜1956年のSCCAシリーズで活躍した後、コレクターのもとで余生を送ることになる。現在もアメリカのコレクターのもとで健在で、FERRARIのイベントに姿を見せている。

ABARTHとFERRARIのダブル・ネームの起源は最近のように思われようが、実は63年前に関わりが始まったのだった。また1950年代のフェラーリのロードカーには、高い性能が認められてABARTH製のマフラー(マルミッタ・アバルト)が使われていたことも忘れられまい。

そして、ABARTHとFERRARIは再び手を結ぶ。FERRARIのパッションを備えるABARTHとして、2009年のフランクフルト・ショーで『695 TRIBUTO FERRARI』が送り出されたのである。

▼スペック
1953 FERRARI 166MM ABARTH

全長:—-mm
全幅:—-mm
全高:—-mm
ホイールベース:2200mm
車両重量:650kg
エンジン形式:水冷60°V型12気筒SOHC
総排気量:1995.02cc
最高出力:160HP/7200rpm
変速機:5段マニュアル
タイヤ:5.50-15
最高速度:200km/h

INFORMATION

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嶋田智之さんによる『ABARTH 695 BIPOSTO』レポートはこちらから
>> https://www.abarth.jp/scorpion/driving_fun_school/4862