The SCORPION SPIRIT VOL.2 心に響くものに、がむしゃらに挑み続ける。

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フォトグラファーのケイ・オガタ氏が、アバルトの魅力を刺激的に表現するプロジェクト「The SCORPION SPIRIT」。「今日までの自分を、超えられるか。」というテーマで繰り広げる新シリーズの第2弾WEBムービーに、モータースポーツ界のレジェンド山野哲也選手とプロ・ドリフトドライバー石川紗織選手が登場。躍動感あふれる映像で、アバルトのアグレッシブな魅力とパフォーマンスを存分に表現している。
今回のスコーピオンマガジンでは、本ムービーで『ABARTH 124 spider』のステアリングを握った石川紗織選手に、撮影時のエピソード、そしてドライバー人生について語ってもらった。

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アバルトの刺激と躍動感を描き出す

アバルトの刺激的な魅力を表現する「The SCORPION SPIRIT」。前シリーズ、そして新シリーズを通して、プロドライバー初出演となった本ムービーは、アバルトのポテンシャルを最大限に表現した仕上がりとなった。
本作で、刺激的なドライビングテクニックを披露している石川選手に感想を聞いた。
「第一印象は“すごくカッコいい!”、その一言に尽きます。撮影当日は、あいにくの雨模様だったのですが、それがかえっていい演出になっていて。音楽と映像の雰囲気もピッタリ。アバルトのカッコよさと情熱的な個性、そしてファッショナブルなイメージが、すべて表現されていると感じました。
アバルトオーナーやアバルトファンの方はもちろん、たくさんのみなさんに観ていただきたいです」

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本ムービーの撮影に、石川選手はどのようなことを意識して挑んだのか、話を伺った。
「アバルトの躍動感や、官能的な走りなど、そういった部分を全面に表現するために、力強いドライビングを意識しました。狭い倉庫の中で走るシーンでは『595 Competizione』と『124 spider』の2台が戦っているみたいな、そんなイメージで走りました。
また、山野さんと呼吸を合わせて走るのも初めての経験で、とても新鮮でした。ふたりでひとつのテーマに挑むというのも、特別な体験だったと思います。ムービーの最後に2台で円を描いて走るシーンがあるんですけれど、あの時もちょっと打ち合わせしただけなのに、息がピッタリ合って。どんなシーンでも、山野さんが何とかしてくれるので、とても助かりました」

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雨が降り続く中の撮影は、思いがけないことの連続だったと石川選手は語る。
「とにかく、めちゃめちゃ寒くて、過酷な現場でしたね(笑)。
また、ムービー冒頭の水たまりの中を駆け抜けるシーンでは、雨はもちろん、凸凹がすごいし、砂利道だし。クルマが真っ直ぐ走らなくて、ずっとカウンターを当てているような感覚でカメラマンの真横を走りました。あのシーンは、とても印象的ですね。しかも、完成したムービーを観たら、そのシーンがとてもカッコよく仕上がっていて驚きました。アバルトをあんなにカッコよく演出してくれたと思うと、雨が降っていて良かったと思いますね」

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今回の撮影で、石川選手の相棒となった『124 spider』。アグレッシブなドライビングシーンを撮影する中でどのような印象を持ったのか、感想を聞いた。
「私は、もともとドリフトドライバーということもあり、FRの方が馴染みがあるんです。それもあって『124 spider』は、最初からとてもしっくりきましたね。しかも、乗り手を選ばない素直な面を持ちながら、ドライバーをもうワンステージ上に誘うような魅力を持っていて、とても好きなモデルですね。
街乗りでも気持ちいいんですけれど、山道に行ってみたくなったり、ちょっと遠出してみたくなったり、ワインディングを走りたくなったり。もうひと踏みしたくなるような、魅力と刺激があると思います。手に余るようなハイパワーではないけれど、もっと試したくなるような力強さがある。さらなる高みを目指したくなる、そんなクルマだと思います」

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ドリフトチャンピオン、海外進出、そしてさらなる挑戦へ

激しいレースで知られるドリフトの世界で、チャンピオンにまで登り詰めた石川選手。彼女が競技の世界に挑んだきっかけや、どのようなドライバー人生を歩んできたのか。そのヒストリーについて、語ってもらった。
「高校生の頃からバイクに乗っていて、その流れでクルマに乗るようになりました。運転が好きで、よくドライブに行きましたね。
ドリフトとの出逢いは、峠でたまたまスピンターンをしているクルマを見かけたこと。最初は、何が起きているのかわからなくて。まるで、曲芸とかスタントを見ている気分でした。
その瞬間“私もやってみたい!”と思い、すぐスポーツカーを買ってドリフトを始めました。
ドリフトの一番の魅力は、それほど上手に走れていなくても、すごく楽しいこと。
どんなレベルでも、自分でマシンをコントロールしている感覚がすごく感じられる。そして、乗っていても、見ていても楽しい。モータースポーツの究極のエンターテインメントだと思っています」

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そんな石川選手が初めてドリフトのレースに参戦したのは、23歳の時だったという。
「アマチュアの小さなイベントに出場したのが、ドリフト初レースでしたね。
仲間内では、だいぶ上手くなっていたのですが、初のチャレンジは予選落ち。
それまでは、ただ上手くなりたい、ただこんなことをしたいという漠然とした思いだったのですが、この時をきっかけに勝てなかった理由や今後の練習プランなどを具体的に考えるように意識が変化しましたね。
悔しくて、練習して、勝てるようになってきたら次のステップへ進む。それを繰り返した結果、お台場で開催されたバイクとドリフトのコラボイベントに参加することができました。その時の盛り上がりというか、空気感がすごくて。クルマに乗っていても、お客さんの熱気が伝わってくるんです。こんな雰囲気の中でドリフトができるなんて、本当に幸せだなと思いました。
ちょうどその頃、日本よりもドリフトが盛んな海外で試合がしたいと思うようになりました。
世界のステージで、ドリフトできるような選手になりたい。それが、最初に持った明確な目標でしたね」
その後、ロシアや中国のシリーズ参戦、ブラジルへの遠征、そして石川選手が一躍注目を浴びた香港でのレース出場など、海外で様々な試合に出場するようになったという。
「各国のドリフトチャンピオンが王座を争う大会が香港で開催されたんですけれど、その試合はとても印象的でしたね。トーナメントの大会だったのですが、対戦のたびに、パーツがひとつずつなくなって。決勝が終わった時には、クルマはボロボロの状態でした(苦笑)。
香港って、クルマを運転する女性がすごく少ない国なんです。そんな香港で開催された大会で、出場している女性は私一人。名だたるチャンピオンが対決する中、若干無名の私が準優勝したため、すごい熱狂でしたね。会場のみんなが私のことを応援してくれて、とても嬉しかったです」

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レースはもちろん、様々なことにチャレンジし、夢を実現してきた石川選手。
これまで挑戦してきたことについて、話を聞いた。
「やっぱり初めての海外遠征は、とても大きなチャレンジでしたね。
私が参戦したのは、ヨーロッパの大会のスロバキアラウンド。ヨーロッパ各国から選手が集まっていて、とても盛り上がりました。いま思い出しても、本当にすごかった。そこには、私が夢見ていたコンペティションがありました。
私のドリフト人生は“カッコいい!”“やってみたい!”という思いから始まり“海外で走りたい!”という思いに変化したことで、スロバキアの大会に参戦できるまでになりました。やっぱり、何事も熱い思いが原動力なんだと、改めて思いますね。
理屈なんてない。心に響くもので行動するって、すごいパワーだと思うんです。
自分の気持ちに素直に従えば、あとは突き進むだけ。突き進めば、そこに道が出来てくる。
賢いやり方ではないかもしれないけれど、誰も通ったことのない道を進むためには、
その方法しかないと思いますね」

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そしていま、石川選手の心は、さらなるチャレンジへと向かっているという。
「いままで、ドリフトやカートのレースをやって来たんですけれど、今後はダートやラリーなどにも挑戦してみたいと思っています。これまでに体験したことのないジャンルのモータースポーツに携わることで、新しい自分を発見したいし、モータースポーツの新たな楽しさを、もっと掘り下げたいと思っています。
私って「気持ちが脳」というか(笑)。心が“楽しそう!”と思ったら、それに従う。可能性とか、そういうことを考える前に、心に響いたものに対して正直に突き進む。気持ちに正直に従って、挑戦し続ける。そういったことを大切にしています。
全力でやれないことならば、やらないほうがいい。心のコンパスが、ちゃんとそっちに向いているかどうかということが、大切なんだと思います。なので、私は自分が楽しいと感じたことを、一生懸命やることにしています」

自分の思いに、自分の感覚に正直に行動し、夢を現実のものにしてきた石川紗織選手。
彼女のあくなき挑戦は、これからも熱く走り続けることだろう。


The SCORPION SPIRIT 第2弾のムービーはこちら:https://www.abarth.jp/cp/scorpionspirit/

撮影で使用したモデルの詳細はこちら
ABARTH 124 spider:https://www.abarth.jp/124spider/
ABARTH 595 Conpetizione:https://www.abarth.jp/595_competizione/


石川紗織 SAORI ISHIKAWA
プロ・ドリフトドライバー
ABARTH DRIVING ACADEMY講師。ドリフト競技でのチャンピオン経験を基に、ドライビングスクール運営やイベントでのエキシビジョンなど、多彩な活動を展開。女性目線の丁寧な指導で、モータースポーツの楽しさを伝えている。