「運転しているときの感覚が、ほかのクルマと全然違うんです」 アバルト595コンペティツィオーネ オーナーインタビュー

170616_Abarth_01

人の感覚にとてもマッチしていて、体の一部のようです

「イタリア車に、はまりました。ずいぶん前から興味はあったのに、なぜか所有する機会はなかったんです。でもいざ自分で所有してみたら…。ここまではまるとは思っていませんでしたね」とおっしゃるのは、名倉直良さん。1950年生まれの、ベテランの整形外科のドクターです。子供の頃からの大のクルマ好きで、若くクルマを所有できなかった頃には近所の知人のクルマやレンタカーで都内を走ったとか。大人になってからはドイツ車を所有されていた時期が長かったそうです。

170616_Abarth_02
595コンペティツィオーネ・オーナーの名倉直良さん

──現在の名倉さんの所有車は、1台のドイツ車のほかは、アバルト595コンペティツィオーネ(5MT)、アルファ ロメオ・ミト、916型アルファ ロメオ・スパイダーのツインスパークとイタリア車揃い。これは一体どういうことなのでしょう?

「頭の回路がおかしいですよね(笑)。昭和45~46年ぐらいの出来事だったんですが、友人が持っていたアルファ ロメオの4ドアのジュリアに乗せてもらったんです。デザインがユニークで、ものすごくスポーティなクルマで、その頃からずっとイタリア車には興味がありました。でも、なぜかずっと縁がなかったんです。それが一昨年、たまたま街を走っているミトを見て“エレガントだな”と思い、個人的に親しみのある街のアルファ ロメオ松濤を訪ねたんです。試乗してみたらすごく楽しいクルマで、それが私の1台目のイタリア車になりました。実はもう1台、ミトのSBKという170psのMTモデルも買って、数ヶ月間、乗り味の違うミト2台体制だった時期があるんです。アバルトは、そのSBKと交替するかたちで購入したんです」

170616_Abarth_03

──ものすごい勢いでイタリア車に染まられたような流れですが、どんなところに理由があったのでしょうか?

「これまでドイツ車にも何台か乗りましたけど、ドイツ車は日本車と同じようにしっかりできていて、でもあんまり面白味がないんですよ。イタリア車は、まずデザインがいい。私は無趣味で、唯一の趣味といえるのがクルマ磨き。乗るより磨く方が好きかもしれません(笑)。そういうときにクルマに触れていて、ミトにもアバルトにも、よくこういうデザインができたなと感心させられるんです。それから、もちろん走らせていてものすごく楽しいこと。人の感覚にとてもマッチしていて、体の一部のような感じがします。こればかりは走らせてみないとちょっとわからないと思いますね。それに昔と違って、今のイタリア車は全然壊れない。マイナス点がないんですよ」

170616_Abarth_04
「595らしさをもっとも強く味わいたい」という理由から、グレードは595コンペティツィオーネをチョイス。その一方で「アクセルを踏みたくなる欲望を理性で押さえ込んでいます」とも。

──アバルト595コンペティツィオーネに買い換えられた理由を教えてください

「実はアバルトにも学生時代からずっと関心はあったんですよ。イタリアにすごいチューナーがいて、そこで作られるクルマはものすごいらしいって。でも、自分で運転したことはありませんでした。ところがお世話になっているディーラーさんがアバルトを取り扱うようになって、去年の初夏に訪ねたら試乗車があったんです。一度試乗ぐらいはしてみようと思って乗ってみたら、驚かされました。エンジンのレスポンスとか、ブレーキの制動力とか、かなりスポーティなのに、とても乗りやすい。クルマのサイズがつかみやすいことにも車体がガシッとしていることにも感心させられました。試乗したのはベースグレードだったんですけど、私はコンペティツィオーネのMTを購入しました。このクルマのすべてが揃ったグレードだと思ったので。本当は都内で乗る分には、こんなにパワーは必要ないとも思うんですけどね(笑)」

170616_Abarth_05
トランスミッションは5速MTを選択。クルマと運転への関心の高さが現れています。

一瞬でも高回転までアクセルを踏むとワクワクしますね

──実際に所有されて、アバルト595コンペティツィオーネはどんな印象ですか?

「これは成熟した大人が乗るクルマだな、という印象ですね。もちろん若い人にも乗って欲しいとは思うけど、なんせ高性能ですから。軽い車体に180psのエンジンを積んでいますから、スピードもかなり出ます。私は通勤にも使っていますが、アバルトは“さあ行くぞ!”という感じ。気合が入ります。仕事の帰りなんかでも、前が空いていたりすると、アバルトだとついついアクセルを踏み込みたくなります。理性で抑えますけど(笑)。私は飛ばすタイプではないんですけど、一瞬でも高回転までアクセルを踏み込むと、やっぱりワクワクさせられますね」

170616_Abarth_06

──アバルトのもっとも気に入っているところはどこですか?

「ターボのクルマって途中からグッとくるようなイメージがあったんですけど、アバルトは発進時から踏めば踏むだけどんどん直線的にパワーが出てくるようで、それはすごいと思いますね。トルクがあるので、3速あたりから踏み込んでも苦もなく走っていきますし。スポーティなのに乗りやすいんです。ハンドルの動きにも無駄がなくて、すごく感覚にマッチしていてしっくりきます。運転しているときの感覚が、ほかのクルマと全然違うんですよね。これほど小さなクルマでどうしてこんなことができるんだ? と本当に不思議です。まさにマジックですよ。そういうクルマが自分の仕事場の駐車場においてあるのを眺めると気持ちが高揚してきます。私ももっと頑張らなくちゃいけないな、と思わされます。それが自分にとって、ものすごく励みになっているように感じます」

170616_Abarth_07

──整形外科のドクターというのは、ストレスの多そうな仕事であるように思いますが……。

「いや、それは皆さん同じだと思うんです。生きている限りは誰もがストレスに直面するんですから。大切なのはストレスコントロールをいかにするかということで、そのために何をやるか、なんです。私はそれほどストレスを感じるタイプではないと思うんですが、それでもアバルトが私のストレスコントロールに役立ってくれているのは間違いないですね。クルマに触れている時間が息抜きです。だから、クルマ磨きは私のリハビリ(笑)。ホイールの中のブレンボブレーキのあたりまで磨きますからね。クルマは家具や宝石と一緒で、大切にしていけば30年、40年と長くつきあえます。アバルトは個性的だし、どこか人の温もりが感じられるようなところもあって、唯一無二の存在だと思います。長く所有したいですね」

取材・文 嶋田智之
撮影協力=アバルト松濤

製品ページはこちら
ABARTH 595 COMPETIZIONE(M/C後モデル)