【ABARTH CLASSICHE】アバルトの歴史を刻んだモデル No.003

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1963 FIAT ABARTH 595
フィアット・アバルト 595

595シリーズのご先祖

AB_1110_02初期型の『FIAT ABARTH 595』は、『FIAT 500D』タイプをベースとするためドアが後ろヒンジの前開き式となるのが特徴。

現在のABARTHで主力モデルとして支持されている595シリーズ。この595という半端な数字は、かつてABARTHの名を広く知らしめた人気車種のモデル名に由来するのである。そのご先祖といえるモデルが、1963年に登場した『FIAT ABARTH 595(フィアット・アバルト 595)』だ。現在のモデルと同様に『FIAT 500』をベースに、高性能なクルマを求める若きファンに向けて製作されたもので、アバルト・マジックと呼ばれる高度なチューニングが施されていた。2013年には『ABARTH 595』の誕生50周年を記念して、現行モデルにオリジナル595のイメージを盛り込んだ限定モデルが、発売されたのはご存知のことだろう。

『FIAT ABARTH 595』のベースとなった『FIAT 500』(イタリア語読みでチンクエチェント)は、新たなイタリアのベイシックカーとして1957年に登場したもので、リヤに積まれた空冷2気筒496ccのエンジンは18HPを発揮し、95km/hの最高速度をマークした。4人乗れて手頃な価格だったことから、たちまちイタリアの人々から絶大な支持を得て、街の風景に欠かせない存在となっていた。

AB_1110_031965年に『FIAT 500』が一般的な前ヒンジ式ドアのFタイプに変わったことに伴い、『FIAT ABARTH 595』も同様に変更された。

ABARTHはこの愛すべき『FIAT 500』をベースに、より俊敏な走りを実現するために排気量を車名の由来となる593.707ccまで拡大すると共に、吸排気系のすべてが入念に仕立て上げられた。このスペシャル・チューニングにより最高出力は5割増にもなる27hpまで高められ、最高速度は120km/hと、ひとクラス上のパフォーマンスをマークするに至った。

まず登場した『FIAT ABARTH 595』は、外観はほとんど『FIAT 500』と変わらず、ホイールにはキャップが備わるほどだった。しかしノーズとリヤにはサソリのエンブレムが誇らしげに輝き、リヤスカート下から覗くマルミッタ・アバルト(アバルト特製のマフラー)と、放熱フィンが刻まれたアルミ製のオイル版がただのチンクエチェントではないことを主張していた。

AB_1110_04フィアット・アバルト595登場時のカタログ。一枚もので2色刷りのシンプルな構成だった。

インテリアもスタンダード仕様では『FIAT 500』の丸形メーターがそのまま流用されていたが、オプションで回転計、速度計、油温計、油圧計を収めたメーターキットが用意されていた。ちなみに当時の販売価格は595,000リラで、奇しくも車名と同じとされていた。またアバルト社はコンプリートカーのほかパーツ単体でも販売され、手持ちの『FIAT 500』を『ABARTH 595』にすることもできた。

1964年2月になると更にパフォーマンスを高めた『FIAT ABARTH 595 SS』(イタリア語読みでesse esse/エッセエッセ)が追加される。このエッセエッセの名とバッジのデザインは、現在のABARTHにも受け継がれているので目にされている方も多いことだろう。

AB_110_051970年にはレース用の『FIAT ABARTH 595コルサ』が登場。オーバーフェンダーを備え最高出力は34HPまで高められた。

『FIAT ABARTH 595 SS』は排気量こそ594ccと変わらないが、圧縮比を10.5:1まで高め、キャブレターをより大きなソレックス34PBICに換え、新たに作られたインテーク・マニフォールドを始めとする吸排気系の見直しが行われ、これらのチューニングにより最高主力は32hpを発揮し、最高速度は130km/hをマークするに至った。

595エッセエッセの細部デザインはABARTHらしく、クルマ好きを喜ばせる魅力的なデザインが随所に盛り込まれていた。ツイン・テールパープのマルミッタ・アバルトを始め、アルミ製のオイルパン、ゴム製のフードストラップ、ボディサイドのストライプ、そしてその存在を主張するABARTHのエンブレムが、そのパフォーマンスを無言のうちに主張していた。

AB_1110_06回転計、速度計、油温計、油圧計をまとめたイエガー製のメーターキットは、当初オプションだったが595SSから標準装備となった。

こうして『FIAT ABARTH 595』は小排気量スポーツ・モデルの代名詞的存在として親しまれていった。また、この年の5月には595シリーズの姉妹モデルとして、レースの700ccクラスでの戦闘力を高めるために排気量を695ccまで拡大した695シリーズも送り出される。この695シリーズの詳細については項を改めてご紹介しよう。

1965年3月になるとベースとなる『FIAT 500』にマイナーチェンジが施され、『FIAT 500F』へと変わる。最も大きな変更点は後ろヒンジで前開きだったドアが、一般的で安全性の高い前ヒンジ式とされたことである。『FIAT ABARTH 595』もこのマイナーチェンジに連動して、500Fボディに変わるがメカニズム的に変化は無かった。

AB_1110_07排気量を593.707ccまで拡大し、吸排気系のチューニングにより最高出力は27HPを発揮し、最高速度は120km/hをマークした。

こうしてイタリアを始めとする世界中の熱きハートを持つエンスージァストから支持されてきた『FIAT ABARTH 595』だが、1971年をもって生産が終了された。ABARTH社は1971年にFIATに買収され、ラリーを中心とした競技車の製作を担当する部門に変わっていった。そのためそのためABARTH独自の活動は終焉を迎え、FIATとの第一歩を踏み出す事になったのである。

しかし、ABARTHが持つテクノロジーと美学は、21世紀となった現在にも確実に受け継がれている。その常に最先端を目指すというスピリットとマニアックなデザインは、現行アバルトの各モデルに継承されており、今もエンスージァスト達を魅了し続けている。

▼スペック
1963 FIAT ABARTH 595

全長:2970mm
全幅:1320mm
全高:1300mm
ホイールベース:1840mm
車両重量:470kg
エンジン形式:空冷2気筒OHV
総排気量:593.707cc
最高出力:27hp/5000rpm
変速機:4段マニュアル
タイヤ:125R12
最高速度:120km/h

INFORMATION

2017.02.25 sat -02.26 sun NEW ABARTH 595 DEBUT FAIR
http://www.abarth.jp/new595/

ABARTH 595
http://www.abarth.jp/595/

ABARTH 595 Turismo
http://www.abarth.jp/595_turismo/

ABARTH 595C Turismo
http://www.abarth.jp/595c_turismo/

ABARTH 595 Competizione
http://www.abarth.jp/595_competizione/