日本の<GOODWOOD>を目指す<ASAMA MOTER FESTIVAL>。ABARTHもエントリーしたイベントの様子をレポート!

ABARTH_151024_413

“GOODWOOD”という言葉の響きは、世界中の熱心なクルマ好き達にとって、特別に感慨深いものです。なぜならそれは、自動車文化の奥深さと幅広さに関しては世界一と誰もが認める英国の地で、最もよく知られ、最も盛大で、最も拡張の高い、大人の嗜みに溢れた自動車イベントの名称。主催者であるマーチ伯爵家からの招待を受けて参加したいと願う人はもちろんのこと、一度でいいから観に行きたいと望む人が世界中にたくさん存在します。

それも当然でしょう。マーチ伯爵家の所有するチチェスター北部の広大な丘陵地帯で開催される<GOODWOOD FESTIVAL OF SPEED>では、古くは100年以上昔から新しくは最新鋭、いや、場合によっては正式発表前のプロトタイプまで、世界中の名車やF1マシンまで含めたレーシングカーが、敷地内に設けられている美しいコースを次々と全開で駆け抜けていくのです。会場内にはクルマを趣味にする人なら間違いなく足を止めてしまう各種専門ショップや同伴の女性を退屈させないためのショップがブースを広げ、子供が楽しむための移動遊園地も設けられ、まるで英国的荘園の中で行われるクルマのお祭り、といった趣き。このイベントを観るために昨今では20万人近くの人が足を運ぶと聞けば、どれほど多くの人達の関心を呼んでいるかがお察しいただけることでしょう。

ABARTH_151024_452

そして、今では“浅間”という地名も、日本のクルマ好き達にとって、特別なものになりつつあるようです。春に開催される<浅間ヒルクライム>、そして秋に行われる<ASAMA MOTER FESTIVAL>は、GOODWOODを手本にしたクルマのお祭りを根付かせることで日本のクルマ文化を盛り上げていこうと、地元を中心とした有志達が地道な努力を繰り返しながら育ててきたイベント。5月末に開催された<浅間ヒルクライム>では、自治体と警察の理解を得、公道を封鎖してナンバープレートを持たないサーキット専用車両も走れるイベントへと成長しています。

そして10月24日(土)、25日(日)の両日、秋のイベントである<ASAMA MOTER FESTIVAL>。が浅間山の麓周辺を舞台に開催され、そこにABARTHもエントリーしていたのでした。

クルマは『ABARTH 695 BIPOSTO』、ドライバーは桧井選手

ABARTH_151024_393

今年は日本のモータースポーツ黎明期に行われた浅間火山レースの第1回が開催されて、ちょうど60年目にあたる記念すべき年。今回の<ASAMA MOTER FESTIVAL>の白眉といえるのは、春に続いて公道を封鎖してレース専用車両を走らせることももちろんなのですが、何と!現在では舗装路となっているその当時のレースで実際に使われた浅間牧場内のコースの一部を使ってヒルクライム競技が行われるということでした。

ABARTH_151024_030

今回は、その浅間牧場内での約1kmのヒルクライム、浅間火山博物館から浅間牧場までの間の約2kmの区間を定められた平均速度で正確に走らせる定時計測、そしてメイン会場となった浅間火山博物館の広大な駐車場に設けられた特設コースで行われるジムカーナ、という3本立て。浅間火山博物館のパドックには、イベントの趣旨に賛同した自動車メーカーやインポーターがブースを構え、思い思いの展示やサービスを繰り広げながら、集まったギャラリーを迎えています。少し歩けば普段は見ることのできないような貴重なクルマが展示され、気になるパーツ類やアパレルを販売するショップの出店があり、カフェもあり、ステージでは音楽のライブや自動車ジャーナリストによるトークショーもあり・・・と、なかなか華やかなお祭りらしい雰囲気です。

1

ABARTHは会場内のほぼ中央にテントを設置。走行時間帯以外は最新にして最強のストリートモデルであり、やはりそうどこでも見られるってわけでもない『695 BIPOSTO(ビポスト)』を展示していました。また今回は、ABARTHレディとして “とんがりガールズ”の野中直子さんと増田典恵さんが応援に駆けつけていて、ファンの人達にノベルティをプレゼント。ギャラリーの集まり具合と明るい雰囲気では、会場内のトップ3に入っていた感じでした。観察するでもなく観察していると、『695 BIPOSTO』を細かく観察していくファンの多いこと多いこと。まだ日本には10台前後がようやく上陸した程度ということもあって、オリジナルといえるスタンダードの『ABARTH 500』との違いを探しながら眺めたり写真を撮影したり、今回『695 BIPOSTO』のステアリングを握るプロドライバーの桧井保孝選手に声をかけたりする姿が印象的でした。

2

さて、今回はナンバー付きの最新のスポーツ・モデルから歴史的な名車、そしてフォーミュラカーを含めたレース専用マシンまで、60台近くが集まって走行しました。3つのステージでタイム計測を行うわけですが、基本的にはリザルトを公開していないため、あくまでもこちら調べではありますが、桧井選手の駆る『695 BIPOSTO』はヒルクライムでは何と8番手のタイムを叩き出していたようです。『BIPOSTO』より上に車名を連ねるのは、フォーミュラカーや大排気量&大パワーを誇るレーシングカーのみ。またジムカーナでは早いうちにトップタイムをマークし、その後に某自動車メーカーの最新スーパーカーを駆るワークス系プロドライバーが必死でアタックを繰り返して何とか逆転に成功する、というドラマティックな展開もありました。

ABARTH_151024_159

『695 BIPOSTO』は見るからにコンパクトなクルマだし排気量も1.4リッターと小さいクルマですが、ABARTHに冠された伝説的な“ジャイアント・キラー”の呼び名に相応しい誰もが想像以上の高性能ぶりを発揮して、ギャラリーを驚かせていました。ABARTHは速いということはこの日本でもよく知られていることですが、実際に全開で走っている姿を目にする機会は意外と少ないモノ。その鋭い走りを見て目を丸くしている人が多かったのが、ABARTH好きのための SCORPION MAGAZINE取材班としては嬉しいような愉快なような、といった気分でした。・・・ABARTH、すごいでしょ?

そして、『695 BIPOSTO』を走らせた桧井保孝選手に、ちょっとお話を聞いてみました。

ABARTH_151024_445

「BIPOSTO、速いし楽しいですねぇ。車重の軽さが活きていて、他のABARTHよりはパワーもあるから、1速から3速の加速が本当に速いです。今回のヒルクライムのコースはストレート区間が長くて、しかも最初から最後まで上り勾配だったので、クルマとしてはそれほど有利とはいえなかったはずなんです。でも、結構いいタイムを出すことができました。それはコース幅が狭くてコースの脇に枯れ葉が浮いてて滑るから、普通のクルマでは走行ラインの取り方が限られちゃう中、ABARTHは車体が小さいからライン取りの自由度が高かったこと、車重が軽いのとシャシーが引き締められているのでコーナリングスピードが高いこと、それにリアタイヤがしっかり路面を捉え続けてくれるメカニカルグリップのよさがあるから安心してコーナーに飛び込んでいけたこと。そういう特性がよかったのでしょうね。

ABARTH_151024_774

ジムカーナでも、コーナリングスピードはもちろんなんですけど、ステアリングをきると素直に行きたい方向にターンしてくれて、よく曲がってくれました。BIPOSTOは“素”のままでも充分に速いし、充分に楽しいですよ。パワーのある大きなマシンをおびやかすこともできますね。それに今回はストックのまま走りましたけど、BIPOSTOのサスペンションは車高調整などセッティングを変えることもできるので、セットをし直して他のマシンと同じように競技用のタイヤを履いたら、上のマシン達を食えちゃうかも知れませんね。ポテンシャルはそのくらい高いと思います。次はそういう仕様にしてチャレンジしてみたいなぁ。次もABARTHでこのコースを走りたいなぁ。」

速さのABARTH、そして気持ちよさのABARTH

ABARTH_151024_706

桧井選手のドライブする『695 BIPOSTO』は、浅間のイベントでギャラリーを驚かせるような速さを見せてくれました。が、速さはABARTHの特徴のひとつではありますけど、全てではないのだよなぁと思うのです。

ABARTHのラインナップには様々なモデルが存在するわけですが、実は僕達SCORPION MAGAZINE取材班は、この浅間までの道のりを『595C TURISMO』で走っていったのでした。スイッチひとつで頭上のキャンバストップが大きく開き、爽快なオープンエアモータリングを楽しめる595C。夏の間はグリーン一色だった山々が黄色やオレンジ、そして赤のパッチワークを描きはじめるこの季節、空気は澄んでサラッと引き締まり、美しい日本の四季というものをたっぷりと感じさせてくれる季節です。そんな中でトップを開け放ち、ツイスティなワインディングロードを手足のように素直に動いてくれるクルマでそこそこのペースを保ちながら走るのが、楽しくないはずはありません。それはもうめちゃめちゃに気持ちよかったのです。

ABARTH_151024_816

タイムを削っていくような走りを楽しめるのも、ABARTH。自分の気持ちにマッチしたペースで走って気持ちいいのも、またABARTH。ラインナップの中でどれを選ぼうか悩む人もいるかも知れませんが、“クルマ好きの心をホントに解ってるよな”と思わざるを得ません。やっぱりABARTHは、クルマ好きがクルマ好きのためにクルマを作ってるブランド、なのですね。

<ASAMA MOTER FESTIVAL>オフィシャルサイト
>> http://asama-fes.com/

INFORMATION

★ABARTH 595 COMPETIZIONE SCORPIOが登場
全国200台限定。特別にコーディネートされたボディカラー&インテリアカラーとESSEESSE BREMBO KITを特別装備。
>> https://www.abarth.jp/abarth595_scorpio/

★ABARTH + YAMAHA
二輪ロードレースの最高峰として位置づけられているMoto GP(モトGP)に参戦しているヤマハチームのオフィシャルパートナー。
>> https://www.abarth.jp/motogp/

★SCORPION MONTH 2015 限定
サソリを手にするための、特別なオファー。期間限定で購入サポート!11月23日(月)まで!
>> https://www.abarth.jp/offer/

★『ABARTH 695 BIPOSTO』の詳細はこちらから
>> https://www.abarth.jp/695biposto/

嶋田智之さんによる『ABARTH 695 BIPOSTO』レポートはこちらから
>> https://www.abarth.jp/scorpion/driving_fun_school/4862

Text:嶋田智之
Photos:Nozomu Toyoshima