Azzurri 2011レポート

主催:チンクエチェント博物館
寄稿:自動車ライター 武田公実

今年から正式にスタートすることになった、イタリア車によるタイム&ドライブラリー・イベントの「アズーリ(Azzurri)」。
今年5月28日に開催されました。

アズーリとは“青”。
特に空のような明るい青色を表すイタリア語“アズーロ(Azzurro)”の複数形です。
我々クルマ好きにとっては、イタリアのカラーといえばアルファロメオやフェラーリなどの“イタリアンレッド”のイメージが強いのですが、赤がイタリアのナショナルカラーであるのは、実は自動車やオートバイのレースに限られたこと。
国際格式のスポーツでは、“アズーリ”の代名詞でもあるサッカーの代表チームをはじめ、アメリカズ・カップに参戦するイタリア代表ヨットチームも“アズーリ”の名で呼ばれたことがあるなど、イタリアでは、青:アズーロこそ各スポーツの代表チームカラー。
さらにはイタリアの象徴とも言える色とされているのです。

そしてクルマでも、イタリアを代表するブランドが勢ぞろいした“イタリア代表チーム”にしたいということで、「愛知アズーリ」のエントリー可能車両は、イタリア車であればブランド・年式問わず、なんでもOK。
フィアットやアルファロメオ、ランチアなどの人気ブランドはもちろん、イベントを華かにするフェラーリ&ディーノやマセラティなど、素晴らしいスーパーカーの数々もたくさん参加してくれました。
でも、今回最も注目を集めていたのは、新旧のアバルトたちだったと思います。

“アウトガレリア・ルーチェ”から、重低音のエキゾーストノートとともにスタートするアバルト500。このあと、クイズを解きつつ規定時間で走るという難しいミッションに挑みます。

この日のスタートおよびゴール会場となった、名古屋市名東区の“アウトガレリア・ルーチェ”には、45台ものイタリア車が集まりました。
その中でもアバルトは、1964年型フィアット・アバルト595に、同じ年のフィアット・アバルトOT1000ベルリーナなどのクラシックモデルから、総計4台に及ぶ新型アバルト500。
そしてチンクエチェント博物館からも先導車として、まだ納車されたばかりのアバルト695トリブート・フェラーリがエントリー。
新旧のアバルトともに降りしきる雨をものともせず、小さなボディや愛らしいスタイルに似合わないような重低音のエキゾーストサウンドを轟かせて、弾けるような走りを見せてくれました。

アバルトのブランド名は長らく休止していたため、一般的には「知る人ぞ知る」というイメージも否めません。でも、私たちのようなエンスージアストにとっては、今も昔も最高の憧れ。特に今回のようなイベントでの人気ぶりを見ていると、日本人は本当にアバルトが好きなんだなと実感させられてしまったのです。

今年で11年目を迎えるチンクエチェント博物館では、今後イタリアの文化でもあるクルマたちを、博物館のみならず色々な場所で親しめる「移動博物館」というテーマのもと、イタ車とイタリア文化に触れていただけるようなイベントを増やしていきたいと考えています。

奥三河のワインディングを連なって走る新旧アバルトは、今回最高にカッコイイ光景でした。新旧のアバルト・マフラーから吐き出されるサウンドも、どこか似ている気がします。

実は第一回「アズーリ」は、当初は静岡・御殿場を舞台に開催される予定でしたが、東日本大震災の影響でイベントの円滑な運営に支障をきたす恐れが発生してしまったため、今回は地元・愛知県での開催となりました。しかし、今年の10月8日には本来予定していた“ミュゼオ御殿場”周辺にて「箱根アズーリ」の開催が予定されているほか、同じ日に昨年ご好評をいただいたアバルトのワンメイク・ミーティング、「アバルト・デイズ」の第二回も併催される予定です。

ラリー直前のブリーフィングに立つフィアット グループ オートモービルズ・ジャパンのアバルトブランドマネジャー:アンドレア・カラットリさん。これまで日本のアバルトファンを支えてくれた彼は、このほど本国に栄転ということで、閉会後も彼との別れを惜しむ参加者があとを絶ちませんでした。

また9月4日には、愛知県長久手町の愛・地球博記念公園(モリコロ・パーク)にて、イタリア車を中心とするヨーロッパ車が約500台も集結するミーティング「ミラフィオーリ」、翌週の9月11日には山梨県・富士カームにてイタリア車限定の大規模ミーティング「第二回トリコローレ」も開催されます。
そして11月13日には兵庫県芦屋市・奥池園地で、トリコローレの関西版「第一回マキナ・イタリアーナ」も予定されています。
さらに、ちょっと気の早い話ではありますが、「北海道アズーリ」も2012年7月29日(日)に開催することが決定しているなど、アバルトとそのファンが集まることのできるイベントは、このあとも目白押しなのです。

今後とも、私たちチンクエチェント博物館の展開する「移動博物館」に、是非ともご注目いただきたいと思います。


取材・文 自動車ライター 武田公実

チンクエチェント博物館とは
世界初の「500の博物館」として2001年に誕生。初期型の希少な500の展示を中心に、関連資料や映像をご紹介しています。
館内ではエスプレッソを飲みながら、ちょっとノスタルジックで優雅な時間をお楽しみいただけます。博物館のオリジナルグッズやイタリアから直輸入のレアアイテムを多数展示、販売している併設のミュージアムショップも人気です。
また、博物館のある「チッタナポリ」はイタリアンムード満点のリゾート施設。イタリアンレストランもあり、一日ゆっくりとイタリア気分に浸っていただけます。

チンクエチェント博物館