株式会社カーグラフィック代表取締役社長 加藤哲也氏が語る『ABARTH 124 spider』への期待

160826_Abarth_Kato_01

創刊1962年の老舗自動車専門誌『CAR GRAPHIC』を運営する株式会社カーグラフィック代表取締役社長 加藤哲也氏に『ABARTH 124 spider(アバルト 124 スパイダー)』について聞いた。ベテランジャーナリストは、60年代にベース車が誕生したアバルトのスポーツモデルにどんな想いを寄せるのか。

2016年8月5日、幕張メッセで開かれた「オートモビル カウンシル」の一角に、大勢の報道陣が詰めかけた。『アバルト 124 スパイダー』がいよいよ、日本でベールを脱いだのだ。

報道陣の中には、株式会社カーグラフィック代表取締役社長の加藤哲也さんの姿もあった。加藤さんは、『CAR GRAPHIC』や『NAVI』といった老舗自動車専門誌の編集長を務めた、ベテランジャーナリストである。同時に、「オートモビル カウンシル」を企画したひとりでもある。

160826_Abarth_Kato_02
株式会社カーグラフィック代表取締役社長の加藤哲也氏。新旧数々な自動車に触れてきた豊富な経験の持ち主。イタリア車への造詣も深い。“クラシック・ミーツ・モダン”を標榜する「オートモビル カウンシル」の企画にも携わった。

加藤さんによれば、「日本に自動車文化を根付かせたい」という想いからこのイベントを企画したという。“クラシック・ミーツ・モダン”をテーマに、歴史的価値のあるヘリテージカーから最新モデルまでが展示されるが、このテーマは『アバルト 124 スパイダー』というモデルにぴったりだった。そこで「オートモビル カウンシル」の会場で『アバルト 124 スパイダー』がお披露目されることになった。

加藤さんはまず、1973年型の『アバルト 124 スパイダー ラリー』を懐かしそうに見つめる。
「1970年代に、フィアットグループがラリー選手権に送り込んだ主力兵器ですね。当時はまだこの仕事に就いていなかったので、雑誌で見る憧れの存在でした。ベースの『フィアット 124 スポルトスパイダー』に、アバルトらしいモディファイが加えられていて、たとえばサスペンションは変更されていました。小粋でスポーティなオープン2シーターをベースとしながら、アバルトが鼻の油を利かせると先鋭化したラリーステージでもすごい戦闘力を発揮するあたりが、とても魅力的に感じました」

160826_Abarth_Kato_03

――当時、アバルトというブランドに対してはどんな想いを抱かれていましたか?

「カルロ・アバルトがトリノのコルソマルケ38番地に創立したとか、細かいところまで覚えていますよ、憧れの存在でしたから。イタリアの高性能車の鏡ですよね。ただ、アバルトのコンプリートカーはさすがに買えなかったので、『マルミッタ・アバルト(=アバルトのマフラー)』というマフラーや、アバルトの革巻きステアリングホイールに交換していました。それはもう、イタリア車を買ったらまず最初にやることでしたから、すごく思い入れがあります」

160826_Abarth_Kato_04

――2007年にアバルトというブランドが復活したことは、加藤さんにとっても喜ばしいことだったのでしょうか。

「もちろんです。一時、見ることがなくなったアバルトの名前が復活したという事実は、クルマ好きのハートに訴えかけてきます。アバルトはもともと、コンパクトではあるけれどプロポーションに破綻がないというか、独特の美的センスを持っていると思います。一方で、熱対策でエンジンフードを開けたまま走らせちゃう大胆さも併せ持っていて、クルマの両極端の魅力を感じさせてくれる個性的なブランドなんですね」

160826_Abarth_Kato_05

――では、お披露目された『アバルト 124 スパイダー』をご覧になって、どんな感想をお持ちになりましたか?

「まずデザインに関しては、すごく上手だと思いました。基本的なアーキテクチャーはマツダ ロードスターと共用していますが、まったく別のポジションに立っているという印象を受けます。しかも、ビンテージの『124 スパイダー ラリー』と並べてみると、歴史へのオマージュもしっかり感じられます。全体のプロポーションや細部の造り込みを見ると、やっぱりイタリア車だな、と思いますね。イタリアではオープン2シーターをバルケッタ(小舟)と呼びますが、まさにバルケッタという感じがしますから」

160826_Abarth_Kato_06

――近い将来に加藤さんも『アバルト 124 スパイダー』をご試乗なさるはずです。どんなところが楽しみでしょう?

「やはりパワフルになったエンジンがどれくらいファン・トゥ・ドライブにつながっているのか、というところだと思います。あとは音とかステアリングのフィールとか、どんな味付けになっているのか、とても楽しみです。先ほど発表された日本での価格もチャレンジングでしたから、日本のエンスージァストも熱い視線を送ると思いますよ」

――ありがとうございました。誌面での試乗リポートを楽しみにしています。

ABARTH 124 spiderのディテールをチェック!
本格オープンスポーツABARTH 124 spiderが発表
ABARTH 124 spider “S”wordスペシャルコンテンツ
ABARTH 124 spider

Text:Takeshi Sato
Photo:Masayuki Arakawa