アバルトデザイン部門トップに聞く新型「ABARTH 124 spider」に注いだこだわり

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8月5日にオートモビルカウンシル会場にて初披露された『ABARTH 124 spider(アバルト 124 スパイダー)』。そのプレス向け発表会の会場に姿を見せたFCAアバルト デザインヘッド、ルーベン・ワインバーグに、作り手のこだわりを聞いた。

往年の『アバルト 124 スパイダー ラリー』からDNAを受け継ぎながら、現代のテクノロジーを駆使して作られた新型『アバルト 124 スパイダー』。マツダ ロードスターのアーキテクチャーをベースに、“アバルトマジック”がどんなクルマを生み出したかは、多くのクルマ好きの関心を集めるところ。そこで今回はデザイン部門のキーパーソン、ルーベン・ワインバーグに、『アバルト 124 スパイダー』の開発背景について聞いた。

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FCAアバルト デザインヘッド ルーベン・ワインバーグ。

――124 スパイダーのデザイン上のハイライトは?

『124 スパイダー』の開発において開発チームが大切にしたことは、“過去”と“現在”のつながりです。これはスタイリングだけの話に留まりません。かつての『124 スパイダー ラリー』から、そのヘリテージを受け継ぐことまでが求められました。そうした観点からもっとも重視されたのは、“パフォーマンス”と“軽量化”の2点でした。パフォーマンスについては搭載するエンジンにこだわりました。軽量化については、ボディ重量を徹底的に削り落とすことに重きが置かれました。

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――往年のアバルト 124 スパイダー ラリーからインスパイアされた部分は?

ひとつには、サイドのプレスラインの美しさです。ドアハンドルのあたりで跳ね上がる優美な曲線を受け継ぎながら、モダンなアレンジを加えています。フロント周りでは、パワーバルジを備えたボンネットフードや六角形のハニカムグリル。丸型のヘッドライトも往年の『124 スパイダー ラリー』からモチーフを継承しています。

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――デザインをする上でワインバーグさんがこだわった点は?

私にとってクルマは愛情の対象です。デザイナーである前にクルマ好きとして、この仕事に取り組みました。まず追求したのは美しさです。その上で往年の『124 スパイダー ラリー』に由来する、パワフルさやスポーティ感といったものを加えました。その作業は各セクションの人達と連携し、進めました。

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――マツダとはどのように連携しましたか?

マツダとのディスカッションは、始めのうちは電話で行うことを試みましたが、それでは細かな内容まで踏み込むのは難しいと感じ、直接顔を合わせて話し合うことになりました。それでも最初は話がかみ合わないことがありました。例えば、クルマに求めるスポーティさの概念が両社で違ったのです。そうした食い違いを話し合いにより解消していきました。この作業はとても刺激的でしたし、自分自身の成長にも繋がったと思います。

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――ワインバーグさんにとって、アバルトとはどのようなブランドでしょうか?

“情熱”を大切にし、表現するブランドだと思っています。もともとアバルトは、創業者カルロ・アバルトの“レースに勝ちたい、自分も走りたい”という情熱からスタートしています。わたしたちもその情熱を受け継ぎ、皆様に知ってもらいたいという思いがあります。アバルトを走らせると、軽快感やハンドリングの良さ、タイヤのグリップ感など、様々な感動があります。また、過去に酸いも甘いも経験し、現在のアバルトがあります。そうしたブランドの変遷も含め、非常にユニークなブランドだと思います。

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――アバルト 124 スパイダーを運転したことは? またその時の印象は?

これまでに2度ほど運転しました。1回目はプロトタイプを、2回目はプロダクションモデルを運転しました。その時に2つの喜びを感じました。ひとつはデザイナーとして参画したクルマがかたちになった喜び。もうひとつは、運転によって得られる感激、感動です。運転した時の走行速度は限られていましたが、それでも“走っている”という実感が湧いてきました。カーブを曲がるときの安定感やグリップ感も心を打ちました。ぜひ皆様にもその感動を味わっていただきたいと思います。

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Photo: Masayuki Arakawa
Text: Takeo Somiya