アバルト・ドライング・ファン・スクール第2回

ABARTH DRIVING FUN SCHOOL
2012.04.28 SAT FUJI SPEEDWAY SHORT CIRCUIT

走る楽しさを学び、アバルトを知り尽くすことを目的に、今年から始まったアバルト・ドライビング・ファン・スクール。年5回の予定となっているが、4月28日には第2回目が冨士スピードウエイで開催された。
ドライビングの理論を学ぶ座学に、大きな駐車場での実技レッスン、サーキット走行にレーシングドライバーの運転を体験できるサーキット・タクシーまで内容は盛りだくさん。ドライビングスキルを大いに向上させた参加者達は、よりアバルトへの愛情が深まったようだ。また、アバルトへ興味を持つオーナー予備軍として体験試乗枠に参加した人は大いに背中を押されたに違いない。誰にとってもファンな一日になったのだ。

 
 
 
運営事務局・伊藤精朗さん
“ドライビング・スキルを習得して
アバルトの魅力を深く知っていただきたい”

アバルトは運転が楽しいクルマですが、ドライビング・スキルが高ければさらに楽しくなります。そういったことをアバルトのオーナーの皆さんは頭ではわかっていると思うんですが、なかなかスキルをあげる機会がなかったり、一歩を踏み出せなかったりする。それではもったいないだろうということでスクールをやろうと企画しました。
設備の整ったサーキットで、一流のインストラクターの皆さんから教われば、しっかりとしたスキルが身に付いていきます。
そうすれアバルトをもっと楽しめるうえに、究極の安全運転技術も身に付くでしょう。ここが大切なところで、私たちはレースをするためのスクールをやりたいのではなく、オーナーの皆さんに「安全で楽しく」アバルトと付き合っていただきたいという願いがあるのです。スクール名に「FUN」という言葉を入れているのもその表れです。
内容はまず座学。これは基本的な理論を学ためのもので特に難しくはありません。けれども、私も今回改めて聞いてみたのですが、世界の頂点を極めたレーシングドライバーの関谷正徳さんが語るとやはり重みがありますよね。
それからジムカーナ場のような広場での実技があります。これは運転の基本である「走る・曲がる・止まる」を、一つ一つ分解し、落ち着いて習得していく狙いがあります。
そしてサーキットでは自分でステアリングを握っていただく以外に、レーシングドライバーが運転するアバルトを助手席で体験するサーキット・タクシーも用意しています。元F1ドライバーの高木虎之助選手を始め、一流のレーシングドライバーが操ると、自分の乗っているクルマが「こんな動きをする、ここまでいける」というのが体験できるでしょう。
手取り足取りでじょじょにスキルを上げていくお手伝いをするのが私たちのスタンスです。初心者の人が参加すればかなりのスキルアップに繋がるのはもちろんのこと、上級者でも楽しめる内容になっています。リピートすればまた新たな発見があるはずですから、一度といわず何度も来ていただきたいですね。

 
 
レーシングドライバー講師 黒沢琢也さん

ジムカーナ場では3つのプログラムを用意していますが、私が担当しているのはオーバルコースです。ストレート2本とコーナー2つ、シンプルな楕円状のコースにして、走りの三大要素である「走る・曲がる・止まる」を正しく扱うことを体験・習得してもらうことが目的です。
スポーツドライビングというものを体験したことがない人の場合、直線部分でブレーキをすべて終わらせて、コーナーではすぐにアクセルを開けてしまうことがほとんどです。低い速度域の一般道ならば、それでもタイヤのグリップ力だけで曲がっていきますが、サーキットなどを速く走ろうとしたらそれではダメ。曲がるときはしっかりとフロントタイヤに荷重をかけてより多くのグリップ力を引き出すことが必要です。それにはブレーキを踏んだ状態でステアリングを切り込んでいかなくてはなりません。
経験のない人がそれをやるには「どこかに飛んでいってしまうんじゃないか」というような不安を抱くかもしれませんが、こういった広場で練習すれば安心でしょう。ここで正しい曲げ方がわかったもらえば、サーキットでも気持ち良く走れるはず。その他のテクニックも習得すれば、安全運転にも繋がりますよ。

 
 

ル・マン24時間耐久レース優勝経験のある関谷正徳さんがスポーツドライビングの理論を解説。基礎を学んでおくことこそが、スキルアップへの近道だ。
レーシングドライバーが操るアバルトを助手席で体験。その華麗なテクニックによってアバルトの真の実力を披露する。オーナーにとっては究極のお手本だ。
大きな駐車場ではパイロン等で3種類のコースを作り、実技レッスン。コースアウトやクラッシュの心配なく、落ち着いて基礎的な練習ができるのが魅力だ、散水車で水を蒔き、路面を滑りやすくしてのコースもある。
サーキット・コースを走る前のブリーフィング。冨士スピードウエイのスタッフから提示されるフラッグの説明などを受ける。参加者は競技ライセンスやサーキットライセンスの取得の必要はない。
最後はスタッフ総出でお見送り。家につくまで、安全運転でお気をつけて!

 

参加者インタビュー

森江朝広さん
体験試乗枠で参加

アバルトに興味があったので体験試乗に参加しました。普段はボルボに乗っているんですが、コンパクトで走りのいいクルマが気になっていたんです。初めて乗るアバルトは想像以上にサスペンションが良くてビックリしました。エンジンも元気でキビキビ走ってくれます。街中では持て余してしまいそうなほどの性能ですね。レーシングドライバーの運転も凄かった。ボクならブレーキをかけるような場面でもどんどんアクセルを踏みこんでいって、それでも安定してコーナーをクリアしてしまう。それに応えるアバルトも見事ですね。

松村 豊さん
アバルト695トリブート・フェラーリ(青)で参加

クルマに乗り始めた若い頃に、サソリのマークで洒落ているアバルトを知って「いいな」とは思っていたんですけど、買わないままにずっときちゃったんですね。ポルシェなどいろんなクルマに乗ってきたんですが、このトリブートフェラーリが発売されるという情報を聞いて「昔から欲しかったんだよな」というのを思い出しましてね、よし、今だと思って決心しました。ディーラーに行ったのはまだ予約の受付も始まっていなかったし価格もわからない段階なんですけど「とにかく買うから」ってお願いしまして。ボディカラーが4色あるっていうのはわかっていましたが、赤は人とかぶりそうだからまず外して、青にすることに。まだ実車がなかったのでイメージがわかなかったのですが、アブダビブルーのフェラーリが都内に一台だけあるというのを知って見に行き決断しました。
今はレンジローバースポーツも持っているんですが、1人で乗り回すにはこの小さなボディがちょうどいいですね。
このクルマでサーキットに来るのは初めてですが、レーシングドライバーの運転が凄かった。自分の乗ってるクルマが本当はどれぐらいの性能を持っているかというのをいつも知りたいと思ってたんですが、とても自分では乗りこなせないと思うほど凄いクルマだということがわかりましたよ。

 
安藤晋也さん
アバルト695トリブート・フェラーリで参加

以前からアバルトは気になっていたのですが、購入したのはこれが初めてです。トリブート・フェラーリが発売されるのを聞いたとき、フェラーリ好きとしてはもう買うしかない、と。今はフェラーリのチャレンジストラダーレとマセラティ・クワトロポルテも所有していますし、以前は2輪のドゥカティでサーキットを走っていたこともありました。イタリア車が大好きなんです。
納車から半年ほど経ちますが、まだあまり乗れていなくてサーキットを走ったのも今日が初めてなんですが、アバルトはカートみたいに身のこなしが軽快で楽しいですね。もちろんフェラーリに比べればスピードは落ちますけれど、それでも十分に速いですし、素人レベルではかえって使い切れて面白い。満足度はかなり高いですよ。
このイベントは内容が盛りだくさんで楽しいですね。とくにレーシングドライバーの走りを体験できたのが嬉しい。FFのアバルトでもこんなふうに動くんだ、自分の運転とは違う、ということを発見しました。
フェラーリとアバルトの共通点ですか? それはもう「回して楽しい」ということに尽きますよ。なんと言ってもイタリア車ですからね。

右・荻原宏之さん 左・萩原晴美さん
アバルト500Cで参加

荻原宏之さん:「アバルトとでサーキットを走るのは初めてです。今日はレーシングドライバーの方に荷重移動の大切さを学んだのが大きな収穫でした。今までは「ブレーキはブレーキ」で曲がることとはわけて考えていたんですが、連携させることを教えてもらったんねすね。その通りに実践すると自分が思っている以上に速くて小さくコーナーを回れる。以前はブレーキを離してコーナーに入って、すぐにアクセルを開けたてしまってズルズルと外側にはらんだりしてたのですが、随分と無駄なことをやってったんだなというのがわかりました。 また、普通のサーキット走行会などに行くと「速い人がいても違うパーツを付けているからだ」「自分もあのパーツを付ければ速くなる」なんて思ってましたけど、まずは運転技術が大切だということも改めて認識しました。
もっとも、じつはこのアバルトは妻のクルマなので、自分が勝手にイジることもできないんですけどね」。

萩原晴美さん:「今日は夫がスクールに参加したいというので私は付き添いです。以前はシルビアやハイラックスなどいろいろなクルマに乗ってましたけど、一度軽自動車に乗ってみて小さいクルマの楽しさに目覚めたのです。それで、小さくて走りが良くて、というモデルを探しているうちにこのアバルトと出会いました。500Cにしたのはツートンカラーに一目惚れしたからです。洒落てるし走りも元気で気に入っていますし、何よりアバルトに乗るようになってから生活が変わったのが嬉しいです。こういったイベントに来るのも新鮮ですし、アバルト仲間もできたんですよ。今、皆で一泊のツーリング旅行を計画中です」。

末永圭三さん
一般試乗枠で参加

初代のフィアット・パンダとランチア・デルタHFインテグラーレ・コレッツィオーネを所有しているぐらいですから、当然アバルトには興味があります。今日は体験試乗ができるというので参加してみました。
アバルトが途絶えていた頃はヒストリックカーのアバルトを買おうかと思ったときもありましたが、なかなか踏み切れませんでしたね。復活してくれて本当に嬉しいですよ。
デルタは楽しくて気に入っているんですけど、世代が随分と古いものですからターボラグは大きいんです。それに比べると現代のアバルトは低回転からブーストが効いていて全域で速いですね。ただステアリングの操作感は、古いクルマも軽いから負けてないと思ったりもします。
アバルト・オーナーの走行枠は外から見学してたんですけど、皆さん走りが熱いし本気ですね。ビックリしましたよ。