「大人が楽しめるゆとりこそ、このクルマの身上」124スパイダー オーナーインタビュー

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病院勤務の医師である岩岡秀明さんは、常にクルマを複数台所有しているといいます。一台はスポーツカー、そして家族や仲間で出かける際の事を考えて5人乗りのクルマ。そして「小粋なオープンカーも欠かせませんね。」と話してくださいました。

数えたところ31台目の愛車として、岩岡さんが選んだ小粋なオープンカーこそ、アバルト124スパイダーだったのだそうです。現在ポルシェ911ターボ、BMW430グランクーペも所有しているという岩岡さん。今年3月に納車されて以来、多忙であまり乗れないという124スパイダーは、約4ヶ月半ほどで1,500kmを少し超えたところとのことです。

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「今まで所有したクルマはドイツ車が中心だったのですが、実はイタリア車には昔から憧れがあったんです。そんな中このクルマに出会い、スタイリングにすぐ惚れてしまいました。その圧倒的な見た目、イタリアらしいデザインが特に気に入っています。」

「病院に乗っていくと、ドイツ車に乗っている他の先生から『なんていうクルマでしょう?すごく素敵なクルマが停まっていて、その隣に停めてきちゃいました』と言われたこともあります。その先生が乗っているクルマよりもリーズナブルだということを告げると、とても驚いていましたね。124スパイダーが来てから、周りの人の注目度も格段に高まっていると感じています。」

アバルトであるがゆえに、しばしば「刺激的」なところがフォーカスされる124スパイダーですが、岩岡さんはむしろある種の緩やかさ、まっとうなところが気に入っているのだと言います。

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「外は色気、中はまじめ。そんなイメージがありますね。唯一無二のちょうどいい選択肢だったと思っています。今までにもマツダロードスターや、プジョー207CC、メルセデスベンツSLKなどのオープンカーを所有してきました。そんなクルマと比べても、イタリアの情熱的な外観には明確に惹きつけられます。でも、このクルマの魅力はそういう情熱や刺激ではないところにあるのではないでしょうか。」

「ポルシェ911ターボに乗っているからかもしれませんが、今、単に速さを追い求めるならほかの選択肢もあるでしょう。圧倒的なピュアネスを追求するなら1グラムにこだわったロードスターでもいいかもしれません。そうしたストイックな成り立ちのクルマをベースにしている部分で素性の良さは感じます。その上で、それほど厳密ではない独特のゆとりがあるのが、このクルマの魅力ですね。」

「ロードスターより若干の車重増にはなっているものの、絶対的には十分軽い車重。ハンドリングと、小さなエンジンを意識して、バッテリーなどの重量物の配置にも気が配られているマツダロードスターに比べるといろんなことが大らか。この124スパイダーについてはそんな風に感じます。」

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「排気量の小さいターボエンジンは中間加速こそしっかりとしたトルク感がありますが、低回転域ではどうしてもアンダーパワーな面が見え隠れするのです。しかし、それで不満かと言えば全くそんなことはありません。むしろそういう非力さをカバーするとともに、変速時のラグさえもゆとりとして楽しませてくれるから、オートマチックでのんびりと乗ることができる。こんなドライブこそ、124スパイダーにはふさわしいと思います。でもこのクルマ、その好感のもてるゆとりを感じさせながらも、乗る前に眺めても、乗ってから走り始めても、終始ワクワク感を感じさせ続けるのは、『さすがイタリア車』と感心させられますね。」

岩岡さんとクルマの話をしていると、本当にクルマを愛していることがよくわかります。そしてとてもアカデミックで、理知的な分析が多いのが印象的でした。

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「白いボディに赤い刺し色もいいでしょ?とても似合っていると思いませんか?」

スポイラーや、ドアミラー。そしてエアコンの吹き出し口のベゼル部分も、赤いパーツであしらわれています。そういう遊び心を発揮させたくなるのも、124スパイダーならではなのかもしれません。

納車されてから、乗るのはほとんど近場、千葉周辺から都内くらいばかりだという岩岡さんの124スパイダー。「もう少し涼しくなったら、伊豆や箱根の方まで足を延ばしたいですね」と話してくださいました。

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「アバルト124スパイダーは若さを取り戻すクルマだ、という意見も少なくないでしょう。でも、大人が軽く流すオープンカーとして、このクルマくらいふさわしいクルマもないですね。価格もリーズナブルで、使い勝手もいいですし。あと、女性の方にももっと乗ってほしいですね。」

確実にアバルトの虜になっている岩岡さん。しかし、刺激やサソリの毒におぼれ、おかされるのではなく、嗜んでいるという雰囲気。アバルトをこんな風に乗りこなしてみたいもの。インタビュ―の最中も、通りがかりの人に愛車を紹介し解説する岩岡さんを見ていたら、そう思わずにはいられません。

[ライター/中込健太郎 写真/土屋勇人]

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